父と娘をつなぐ玄関アプローチ介護リフォーム

お父様と娘様の2人暮らし、お父様がパーキンソン病を去年患ってしまい週４日介護施設に通われています。歩行障害や転びやすくなるなどの症状が出るため日常は車いすか歩行器を使用して生活しています。最初のご依頼は、玄関を出てからのアプローチが石畳になっており、門までが20ｍ程あるので、平坦にして、車椅子や歩行器での歩行しやすいようにして欲しいというご依頼から始まりました。
伝統的なお庭も残しつつ、機能とデザインを融合した、安全で使いやすいアプローチへとリフォームしました。

こだわりポイント: BeforeもしくはAfter図面あり／エクステリア／プロとしてのアイデア／ライフスタイルの変化提案

リフォーム部分: 屋根・外装・外構・造園等

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玄関アプローチ

距離が20ｍと長く、石畳のため歩きづらいため、脇にある植栽を伐採し、スロープを現状の倍の幅の1,800ｍに広げ、玄関までの導線を直線になるようになだらかに変更し、多少ふらつきがあっても歩行がしやすく、また娘様がお父様の介助をし易いように改修しました。
庭木が伝統ある日本家屋に映えるようになり、とてもすっきりしました。

玄関から門まで、距離が20ｍと長く、石畳のため歩きづらいアプローチ

スロープを倍の幅1800に広げ、玄関までの導線を真っすぐに滑らかなスロープに改良しました。

使用していない門長屋を日本家屋に似合う門構えに…

既存の門長屋ですが、お父様は、昔からあるものなので親しみがあり、立派でとても気に入っていたため、当初は瓦や門扉のみの修繕をご希望でした。門長屋を解体しないと庭にある紡績工場の解体が手での解体になってしまうことと、将来的に、娘様が１人で住むのには必要がないこと…、お父様と娘様の協議の結果、娘さんの希望通り解体することとなりました。
敷地が大きく規格品のカールーフでは、スペースが余ってしまい、ちょうどいい大きさのサイズがないこと、フェンスや門だけでの施工も可能でしたがとってつけたようなものになり、味気ない仕上がりになってしまうことがネックでした。そこで、介護車両が駐車できるように、デザインの良い特注サイズのカールーフを採用し設置しました。

使用していないが、お父様にとっては思い入れのあった門長屋

介護のし易さを考慮しつつ、デザイン性も重視した門廻りの改修工事。圧迫感のない門構えで、広い敷地にもとてもマッチしました。

デザインと機能を兼ね備えた門扉

デザイン性だけでなく機能性もしっかり確保したうえで防犯性も高めるため、スロープと同じ幅に開閉できる門扉を取り付けました。今まで木製の門だったことや玄関まで距離が20ｍあるのでインターホンが鳴ってから門を開けるか、開けたままにしなければいけないのがとても不便だということで、電気錠で門が開閉できるようにしました。同じ理由で宅配ボックスも設置しました。
手前にゲートを設置して、道路と敷地を軽やかに仕切ることで、洗練された雰囲気のファサードになりました。

歩行者側は、デザインを重視したゲートとタイルで仕上ました。土間とタイルの間は、スリットを入れ砂利を入れましたが、車椅子が通ることを考慮して１m分は繋げてあります。

工事後の事も考慮してシャッターを設置

今後、工事車両が入れるようにと、防犯性も考慮してシャッターを設置しました。通常は前面に取り付けるシャッターですが、常に車を置いてあるわけではないので盗まれる心配がないこと、無駄な囲いを増やさないために奥側に取付しました。そうすることで、防犯も保ちつつ、圧迫感のないファサードになりました。

防犯と工事後の事を配慮して設置したシャッター。手前ではなく奥に設置することで圧迫感のないアプローチに仕上がりました。

使い道のない壊れた紡績工場の解体

アプローチの工事で終わる予定でしたが工事をしていくうちに広い敷地の管理が大変とのお話になりました。昔の紡績工場が敷地内にあり、台風や自然災害が心配で、これから娘さん１人で管理をしていくのは難しいと相談を受けました。紡績工場は何も使い道もなく、かなり老朽化が進んでいたため、今後のことを考えて解体することになりました。娘さんが一人になった時に管理のし易さを考慮して、改修を進めました。

使い道のない紡績工場

解体し、防草シートを敷いてその上に砂利を敷き詰めました。娘さまが将来家庭菜園をするかもしれないので一部防草シートのみの箇所を残しました。

改修後の図面

現在の使い勝手はもちろんですが、将来のことも考えて必要なもの不要なものを選別し施主様のご意向を反映させました。
伝統あるお庭や石垣は残しつつ、機能とデザインを融合させたプランにしました。

道路面の石垣は残して、セットバックした位置に設置したフェンス

石垣は残して和風の庭に合うような目隠しをお父様がご希望されていました。石垣の残った部分にはブロックを建てず、少しセットバックした位置に独立基礎を建ててH1,200の目隠しフェンスを設置しました。土が粘度質だったため、独立基礎を施工後、土間打ちして補強しました。目隠しとはいえ少しは庭が見えるので見栄えと効果を考えて、解体した後のスペースにはミックスの砂利を弾きました。新設したのはフェンスだけですが、既存の石垣が、新設したかのように見違える雰囲気になりました。

新設したフェンスと既存の石垣、建物、庭木がとてもマッチして、良い雰囲気となりました。

お客様のニーズ（リフォームへの要望）

・車椅子や歩行器でも、通りやすいようなアプローチへに変更したい。
・プライバシーの為、石垣は残して和風の庭に合うような目隠しを設置したいとお父様が希望。
・アプローチの改修の際に、門長屋の改修も併せて実施したい。
・工場がなくなると解体した側の樹木が不自然になってしまうこと、草の管理が大変なので何か対策をして欲しい。

お客様ニーズへの自社の対応

・脇にある植栽を伐採してスロープの倍の幅を1,800ｍに広げ、玄関までの導線を真っすぐして、娘さんの介助がしやすく、また多少ふらつきがあってもお父様の歩行がしやすいようにしました。
・石垣の残った部分にはブロックを建てず少しセットバックした位置に独立基礎を建ててH＝1200mmの目隠しフェンスを建てることとしました。土が粘度質だったので独立基礎施工後土間打ちして補強しました。目隠しとはいえ少しは庭が見えるので見栄えと効果を考えて解体した後のスペースにはミックスの砂利を敷きました。
・当初は瓦の修繕や門扉の修繕をご希望でしたが長屋門の屋根を解体しないと紡績工場の解体が手での解体になってしまうことと、今後、娘様が１人で住むのには必要ないということなど、父様と娘様が協議しした結果、何とか娘さんの希望通り解体することとなりました。
・問題を解決するため樹木を抜根することにしました。さすがに全部抜いてしまうと殺風景な土の庭になってしまうので、正面のシンボルツリーは残して、防草シートを敷いた後に白川砂利を入れて既設の庭との雰囲気を壊さないようにしました。