
文京区白山の家
お孫さんの誕生を機にリフォームのご相談があり、お打ち合わせの際に、断熱性能を高める、収納力を上げる、開放的で明るい空間にする、などのご要望を頂きました。断熱工事は、隣地とのヘリアキが狭いため外張り断熱が難しく、また室内空間も有効活用したいため、外壁の断熱改修は部分的にとどめました。代わりに天井、床、開口部の断熱強化を行うことで、既存UA値1.11から設計UA値0.65(断熱等性能等級4)まで高めました。
開放性と収納力を両立させるため、可動式のオープン棚やニッチ収納を計画しました。あかりが届かない部分のあったかね折れ階段には、照明を増設して安全に昇降できるようにしました。2世帯同居を想定して、必要な箇所にトイレや洗面台を増設し、機能的で使い勝手の良い間取りとなるように工夫しました。
竣工時の耐震性能を確保するため、許容応力度計算を行い適切な位置に耐力壁や筋交い補強を行うことで安全性を確保しました。
※ガレージのトレーラーハウスは車両登録、車庫証明を取得しています。
広々とした玄関へ。収納力も強化しました!
半間×半間の狭小玄関でした。靴収納も狭く、使い勝手も良くありませんでした。柱と筋交い入りの壁を撤去して玄関土間を拡張。広々とした玄関になりました。L型にオープン棚を設け、見通し良く靴をたくさん収納できるように計画しました。柱を撤去した部分には梁を架け、近接した場所に耐力壁を計画することで、構造耐力の不足分を補いました。
ニッチ収納で空間を有効活用
壁でふさがれて活用されていなかった階段下や階段脇のスペースをニッチ収納として有効活用。
壁にはマグネットが付けられるパネルを貼り、壁面も有効活用できるようにしました。
外壁塗装でイメージチェンジ
外壁は対候性能の高い塗料を使用して塗り替えました。イメージチェンジを図りたいご希望があったため、
塗り替えシミュレーションを行い、明るく落ち着きのあるベージュとグレーのツートンに決まりました。
サッシまわりから漏水していたため、全てのサッシまわりにシーリング処理を行いました。
屋根は経済性を考慮して、既存スレート屋根の上にガルバリウム鋼板屋根を施工するカバー工法を採用しました。
レイアウトを工夫して、トイレや乾燥機を設置
1階洗面脱衣室には、棚を造作して洗濯機とガス乾燥機を縦置き配置。
レイアウトを見直すことで、小ぶりなトイレも設置できました。
床下や天井裏に断熱材を充填して、断熱性能アップ
床下には合計で135㎜厚のフェノールフォームを施工しました。また、天井には既存のグラスウール(100㎜厚/10k)の上に105㎜厚の高性能グラスウール(16k)を2層施工しました。既存の断熱材を残すことで、ごみも少なくなり、経済的な断熱工事が可能になります。
寝室はオープン棚を活用して機能的なスペースに
寝室は造作家具を撤去してオープン棚を設置しました。限られたスペースの中で機能的な収納を実現しました。
家具のレイアウトの自由度も高まりました。
照明の配置を工夫して明るく安全な階段へ
かね折れ階段のため、あかりが届かない部分がありました。明るく安全に昇降できるように照明計画を見直しました。
内窓を設置して断熱性能アップ
開口部は内窓(Low-E複層/アルゴンガス入り)を設置して断熱性能を向上させました。
道路に面したリビング窓は、内窓を型ガラスにすることで、閉めたままのカーテンを撤去することができ、
窓のデザインも楽しめ、自然光の柔らかい光が差し込み、室内が明るくなりました。
断熱性能、気密性能に劣るジャロジー窓は、高断熱樹脂窓に入れ替え、玄関ドアも高断熱ドアに入れ替えました。
建具を追加して部分空調とプライバシーの確保
空調エリアを区画するためリビング入口にアウトセット引き戸を計画しました。
2世帯住宅のプライバシー確保にもつながります。
図面
断熱工事は、隣地とのヘリアキが狭いため外張り断熱が難しく、また室内空間も有効活用したいため、外壁の断熱改修は部分的にとどめました。
代わりに天井、床、開口部の断熱強化を行うことで、既存UA値1.11から設計UA値0.65(断熱等性能等級4)まで高めました。
竣工時の耐震性能を確保するため、許容応力度計算を行い適切な位置に耐力壁や筋交い補強を行うことで安全性を確保しました。
特に配慮した事項
〇耐震診断やインスペクションで劣化状況の調査は行いましたが、調査は非破壊で行うため、劣化状況を正確に把握することはできません。
水漏れの跡がなくても、壁の中に雨水が侵入して構造躯体を傷めてしまうことも少なくありません。本物件でも、サッシまわりのわずかな隙間から雨水が侵入して、構造用合板が腐食してしまっている箇所がありました。該当部分は腐食部分を取り除き新しい合板に交換しました。また、サッシまわりはコーキングを打ち増し、雨水が壁内に入らないように改修しました。
〇今回は、お客様が住みながらリフォーム工事をさせて頂きました。生活環境を残しながら大規模なリフォームを行う場合は、ひと部屋ごとに仕上げていかなくてはなりません。荷物の移動や部屋間の引っ越しも頻繁に行う必要があるため、お客様のご協力とご理解がなにより大切です。
〇狭小住宅は近隣とのヘリアキが少ないため、足場を施工する必要がある場合には近隣にお住まいの方に対して十分な説明が必要です。工事内容や足場の掛け方など、資料を用意して丁寧にご説明しながら工事を進めました。
備考
本物件では、「子育てエコホーム支援事業(国土交通省)」「先進的窓リノベ2024(環境省)」「既存住宅における省エネ改修促進事業(高断熱窓・ドア) 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業(東京都)」「新エネルギー・省エネルギー設備設置費助成(文京区)」の補助金を活用しました。
補助金ごとに申請手続きのタイミングや補助対象範囲が異なるため、手引きを読み込んだ上で事務局に問い合わせながら手続きを進めました。
事業所情報
住宅の性能を向上させる目的で行うリフォームを「住宅性能向上リフォーム」と言います。「住宅」のJ、「性能」のS、「向上」のKの頭文字をとって「JSKリフォーム」と名付けました。住まいの性能を向上させて、快適で、安心、安全な暮らしを実現しませんか?