図書館で待ち合わせ～ふたりの読書時間～

経年劣化により設備の老朽化や内装の劣化に悩んでいたお施主様。お話をするうちにご夫婦お二人の共通点がミニマリストで持ち物が少ないこと、一方で本、美術本などの蔵書が好きで捨てられないことがわかり、本の置き場を間取りの軸にプランを作成。どうすれば自由度が高く、安全に暮らせるのかをテーマに間取りを計画。ふたりの書庫をつくりました。

こだわりポイント: BeforeもしくはAfter図面あり／こだわりキッチン／こだわりトイレ／こだわりバス空間（洗面含む）／インフィルリフォーム／プロとしてのアイデア／新しい生活様式提案／補助金等のリフォーム制度利用

リフォーム部分: リビングダイニング／寝室・個室／キッチン／バス／洗面室／トイレ

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約1000冊おける充実の書庫

中央は床から天井まである背中合わせの本棚。下段は背の高い美術本の高さを考慮し、真ん中より上段はハードカバーの四六版が入るサイズに。梁下の壁面はA6サイズの文庫本を置ける可動棚にした。書庫の風通しを考え、ウォークインクローゼットと書庫の間の間仕切り壁は天井まで立ち上げず、上部を抜いている。また玄関→ウォークインクローゼット→旧洋室の開き窓に向かっていい風が抜ける為、廊下とウォークインクローゼットの間仕切り壁に小窓を造作。これで書庫まで風を通すことができるようになった。

うまく使えていなかったクローゼットのある洋室

ふたりの書庫

読書を楽しむための自由度の高いＬＤＫ

使いにくかったL型のキッチンをI型の壁付キッチンに変更。寝室として使っていた和室と洋室の一部もＬＤＫに取り込みワンルームのような空間に。寝室はロールスクリーンを取付し、間仕切りできるようにしている。床はフローリングの上にあえて置き畳に。その時の気分や、季節、お日様の入り方によって、お二人が好きな場所に畳を移動させて読書を楽しんでいるそう。

旧和室面

広々くつろげるＬＤＫ

シンプルな造作キッチン

キッチンは扉のないシンプルな造作キッチンに。L型からI型の壁付に変更した。壁面にコンクリートブロックがあり撤去出来なかった為、そのまま残しお気に入りのキッチン家電や、お二人が好きなコーヒー用のグッズを飾り置きするスペースに。キッチンの横は冷蔵庫と冷凍庫を並びで置けるように計算、トースター等の家電置き場は可動棚に、棚下の空間はごみ箱置き場。

使いづらかったＬ型キッチン

シンプルだけどこだわりの2シンクキッチン

こだわりのダブルシンクと飾り棚

既存のキッチンがダブルシンクで使いやすかったとのことで、今回も同じようにダブルシンクに。壊せないコンクリート部分のデコボコを生かし、飾り棚として活用。

造作のステンレス天板キッチン

安心して眠れるシンプルな寝室

ベッドを囲んでいた本棚は全て撤去し、安心安全な寝室に。障子は既存を生かした。簡易的に間仕切りできるようL字にロールスクリーンを取付。小さめの収納可動棚を設け、読みかけの本や、ストレッチ用の柔らかいポールなど、地震で転がってきても危なくないものだけ置いている。

本棚に囲われた寝室。タンスの中身も押入れの中身も全て本

安心して眠れるシンプルな寝室

廊下からウォークインクローゼットへの小窓と入口位置変更

廊下からウォークインクローゼットに風を入れるための小窓を造作。以前はリビングへの入口が2か所あり、1か所しか使っていなかった為、廊下正面の入口はつぶした。玄関土間の横が電気温水器置き場の為、メンテナンスできるよう今回新しく取付した式台は動かせるようになっている。お二人の持ち物が少ないので、靴箱はあえて設置せず可動棚のみ。有孔ボードを取付し、ちょっとしたものを引っかけることができる。

廊下正面にあった扉は撤去、壁でふさいだ

不要な靴箱を撤去したことで広くすっきりした玄関

造作の洗面台とお気に入りのボウル

躯体壁の為、広さを変えられない奥行のある洗面室。奥行を生かして今までの75㎝の既製品の洗面化粧台を撤去し、洗面台を造作した。朝お二人の準備の時間が重なることもあるとのことで奥行を生かし洗面ボウルは2つ。1つは実用的でシンプルなもの、もう一つの青色のボウルはお施主様が気に入ったものを見つけて購入されたもの。物が少ない為、鏡は収納のない大きなものを貼付け、鏡下のタイルは青色の洗面ボウルに合わせて好きなものを選んだ。

躯体壁で大きさを変えられない奥行のある洗面室

シンプルな造作洗面台と好きな洗面ボウル＆タイル

バリアフリートイレ

本の収納と同じくらい優先順位が高かったトイレの段差問題。築年数が古く、室内にもコンクリートブロックや、躯体部分がありリフォームの制限の多いマンション。廊下とトイレの段差が18㎝ほどあり、トイレに行くのが毎回苦痛というご主人様。室内全部をバリアフリーにするご提案もしたが、ＬＤＫの床高は上げたくないというご要望の為、トイレの段差分はリビング入口を2段の階段にして手すりを取付。入口も開き戸から引き戸に変更した。

段差のきついトイレ

トイレはシンプルで使いやすく

BEFORE→AFTER図面

書庫を中心に間取りを計画。ミニマリストのご夫婦なのでウォークインクローゼットは小さめ。本棚が無くなった分、寝室は安全に広く、ＬＤＫも自由に広く使える空間になった。

BEFORE図面

AFTER図面

特に配慮した事項

本をどこにどのように収納するのかを軸にプランを作成。本の扱いに慣れているお二人。万が一地震があった際に、本が飛ぶと危ないので、もしものことがあっても本と本がぶつかるようにしたいとのことで書庫を作るプランに。躯体面も多く、書庫に湿気がこもらないよう室内窓を造作したり、ウォークインとの間仕切りの上部をあけたりと工夫。書庫が一か所にまとまった分、残りのスペースは広く自由な空間づくりが可能になりました。本屋や美術館で待ち合わせデートをすることもあるという仲の良いお二人。まだ本も増えているそうですが、本棚の余裕もまだあり5年はいけそう！とのことです。